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(17) 隣のカリネおばさん

今、僕が住んでいるフラットの隣に「カリネさん」というおばさんが住んでいます。
実際には階下に住んでいる、と言うのが正しいのですが、同じフラットにはカリネおばさんしか住んでいないので、彼女だけが僕の唯一の隣人なのです。

正直言って、本当に本当に本当に!良い「おばさん」です。いつもニコニコ、ゆーーーっくりとした独特なアルメニア語を喋り(アルメニアじゃ珍しい)、親切過ぎるくらい親切なおばさんです。

アルメニアに住み始めた時は、それこそヒッドイ奴ばかり出会って凹まされていたのですが、そんな時はいつもいつもカリネおばさんが「助け舟」を出してくれたのです。

「この子をダマしたりしたら、ただじゃおかないよッ!!!」

新しいアパートに住み始めた時、カリネおばさんはいつも僕にくっついて来てくれました。今のアパートの持ち主(家主)は、かなりヒッドイ奴だしアパート自体の環境も悪いのですが、それでも住み続けていられるのは一言で言って「カリネおばさんのお陰」だと本当に思います。

赤痢になって死にそうになった時、一番助けてくれたのもカリネさんでした。僕がスープが好きだと知ると、いつも作って持って来てくれます。僕の事をいつも気にしていてくれて、襲撃してくるホームレスとかから守ってくれます。住む事自体が大変な国に外国人の僕が住んでいる事をいつも不憫に思ってくれているみたいです。

ドアを開けるといつも何やらボールのようなモノを持っていて何かをかき混ぜています。

「リャンチキ・ジャン、バーレブ!ドゥ ウォンツェス?」

「メルシー ラーヴェム」

アルメニア語で「ジャン」は日本語の「鈴木さん」や「佐藤さん」の「さん」の部分にあたります。本当にいつもいつも気にかけてくれているのです。

カリネさんは独身です。そして今は無職です。弟さんからの仕送りでなんとか生活をしているのですが、正直言って大変そうです。

この国にいて一番イヤだと感じる事は、マジメで正直で親切な人ほど損をしているという事です。日本でも、他の国でもそうかもしれませんが特にCISではそれを感じます。どーしようもない「俗物」に限って美味しいモノを食べて、素晴らしい酒を飲んで、良い車に乗って、キレイは服を着て、携帯電話を持って、良い家に住んで、沢山の愛人を作って、、、本当にこの国の「ニュー・リッチ」を見てると殺したくなります。(政治家も含む)

因みに、この国では携帯電話が何やらステータスらしいです。僕は日本に居る時から携帯電話はどうも好きじゃなかったので何かアルメニア人が得意そうに携帯電話で話しているのを見るとイヤァーな感じを受けます。日本で働いている時は会社で携帯電話を持たされてはいたのですが、自分専用には持ちませんでした。

まぁ、実は殆どが「ニュー・リッチ」等ではなくて本当はお金が無いのに、無理矢理に見栄を張っている人達ばかりなのですが、、、(この実力以上に、持ち金以上に、稼ぎ以上に大見栄を張ろうとする国民性だけは、どうしても今でも理解出来ない。)

そんな中でも、自分の身の丈以上の生活を望まないでシンプルな人達も居るのです。彼等、彼女等は「毎日、つつがなく生活出来ればそれ以上は何も望まない」と口を揃えて言います。カリネさんもそんな珍しいくらいにシンプルなアルメニア人の一人です。

この国に住むのはとてもとても大変です。
今、この文章を書いている時点で5人の日本人が住んでいますが、皆、非常に疲れています。口々に「信じられねーよッ!」と言います。しかし、全員しぶといアルメニア人相手に負けずに毎日生活しています。(CISでは「強硬に態度を崩さず、徹底抗戦する」自分と、「ノラリクラリと適当に言葉を受け流して、その場では自分も適当にいい加減になる」自分が必要なのです。あんまりマジメ過ぎる人にはお奨め出来ませんッ!)

ですが僕は多分、友達にも隣人にも最も恵まれた方かなぁと思ったりもします。住み始めて、この国の状況が分かるにつけ「コレは想像以上の覚悟と忍耐が必要だ!」と頭では理解できても、我慢出来ずに爆発する事も少なくありませんでした。正直言って、とてもしんどいです。ロシアに住めば別の「大変な事」があるのだろうし、アメリカに住めば、カナダに住めば別の「大変な事」があるのでしょうが、、、

どっちにしろ、言葉も文化も違う「外国」に住むのは本当に本当に大変です。

ただ、、、この頃コチラに住む日本人と話していて感じるのですが、こんだけ大変な思いをしているにも関わらず案外と「この国に住む事を気に入ってる」のかな?と感じたりもします。一つには、CISの中では考えられないほど「治安が良い!」という事。コレは住み始めるまで予想だにしていなかった事なので、本当に有難い事です。

そして、もう一つには「物価が非常に安い」事。何かを学ぶ、例えばロシア語やアルメニア語、文学、医学、科学、etc、、、非常にレベルの高い授業を(日本人にとっては)安価な授業料で受ける事が出来る!
というのもとても有難い事です。
ロシア語を勉強するには最適な場所、とはとても言えませんが医学だとか科学だとか難しい学問をアルメニアで勉強する場合は「ロシア語は必須!」なので、避けては通れません。コレは何故かと言うと、今でもそれらの学問の本などはロシア語のものが多いからです。

そして、もう一つには、、、良い人はとても「良い人達」であるという事です。住むのはとにかく恐ろしい位に困難な国ではあるのですが、親切な心強い優しい友達や隣人に恵まれたりしたら、この国での生活はだいぶ楽です。(コレは本当です!)

ただ、、、そういう人に巡り合える確率って結構低いんですよね。旅行者の皆さんが、一人でも多くそんな「素晴らしいアルメニア人」にめぐり会える事を祈っています。僕の印象では「女性」の方が、そんな親切な人が多いような印象があります。でも、男性でも居ない事は決してないです。

どうか、カリネさんみたいな親切な人が安心して老後の生活を送れるような国になって欲しいと切に願う今日この頃。(マジで心配している)


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