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(20) アルメニアの厳しい現状

アルメニア共和国は将来どのような国になっていくのだろう?

コレを考えると暗澹たる気持ちにさせられる。

治安は良い、、、が、それ以外の全てが「マイナス要素」なのである。新しいアパートに前住んでいたアパートの隣人「カリネおばさん」が遊びに来た。彼女の弟さんの奥様(グルジアのアジャラ自治州生まれ)と顔馴染の人達が数人。そこで色んな事について話していたのだが、、、

「アルメニアは内陸国。しかも、実質的にグルッと360度敵に囲まれているようなものだから輸入品の殆どが空路からなので、全ての商品がCIS平均よりも高い。(確かにウクライナと比べると少し割高だと感じる)」

「仕事が無い!全く無い!例えあっても賃金の安いものばかり。私の友達は駅で雑誌を売ってるけど、1日の賃金が幾らか知ってるかい?たったの50ドラムだよ!50ドラム!(日本円にして、、、10円チョイ)プラス、雑誌や新聞売り上げの10%を貰えるケド、1部100ドラムの新聞を何部か売ったとしても一体幾らになる???交通費にも満たない。(確かに、、、)それで一体どうやって暮らせって言うのかしらね?日本のキオスクで丸一日働いたら幾ら貰えるの?知らない?あ、そう。
今、マシュトツを始め中心街の大きな通りをこぞって改装しまくっているけど、労働者は3ヶ月も賃金を受け取っていないらしいよ。コレがこの国の現状。」

「この国の男性と女性の比率を知ってるかい?普通にイェレヴァンで生活していたら女性の方が全然多い事に気が付くでしょう?(確かにその通りだ)

男は皆「兵役」を恐れてアッチコッチの国に逃げていってるんだよ。そう、大学を卒業したての若い人。皆18歳から26歳くらいかねぇ?今なんてアゼルバイジャンとの戦争は一応「休戦中」にも関わらず、どんどんとアルメニアから働き盛りの若い男達が国から出て行ってる。出て行った男達は二度とアルメニアに帰って来れない。帰って来れば、即刻「兵役」に就かされるからね。

そうそう、今は50歳の男まで政府は何時でも招集をかける事が出来るんだって。この国からの「男性流出」は多分止まらないね。

多分、今のアルメニアは男性と女性の比率は1対10くらいじゃないかなぁ。
(違うオバサンは「イヤ、1対20だ!」と言っていた。)

いずれ出生率にも影響を及ぼし、この国は更に「マズイ状況」に陥る事になる。一体、政治家は何を考えているのか聞いてみたいよ。」

兵役に関しては兵舎での(恐らく)リンチによって子供の命を奪われたお母さんから話を聞いた事があるので知っていた。

兵役に就く前はどちらかというと太っていたらしい。(写真では太っていた)それが、死んで親元に返された時は余りにも痩せ過ぎていて、しかも真っ黒だった為に最初は自分の子供だかどうかも判別がつかなかったのだそうだ。

(一応)停戦中にも関わらずこのような事が頻繁に起こるのは古参兵による陰湿な「イジメ」や出身地ごとに派閥を作って争った結果だと言っていた。

政府からは「事故によってアナタの息子は死んだのだ」と言われたらしい。一体、誰がそんな事を信じるだろうか?

実際、沢山のアルメニア人男性が兵役に就くのがイヤで(怖くて)海外に逃げている。知ってる人は医者に多額のお金を払って(心臓病を患っている)とカルテを書かせて兵役を逃れたらしい。「お金」さえあれば様々な「大義」をネジ曲げる事が可能なのだ、この国は。だから、アルメニア人の「ナショナリズム」を聞くと鼻白む。

もっと厳しい言い方をすれば、ほんの10年前のコーカサスはあの餓死者を出しまくった「北朝鮮」と変わらないような状況だったらしい。

グルジアでは内戦が始まり、アルメニアとアゼルバイジャンは戦争をおっ始めて、、、その当時は、極度に国民が不安に押しつぶされそうになりながら生活していたのだそうだ。

エネルギー不足は深刻だったようで、乳幼児がその頃死にまくったのは何処かで書いた。意外とアルメニア人はこの事実を知らない。まぁ、テレビを見たくてもラジオを聞きたくても電気が無いのだから知る手立てもないだろうし、食べる物をとにかく買わなければならなかったから、その当時は新聞なんて例えあっても買ったりする余裕は無かったのだろう。

流石に餓死者は出なかったらしいが、独立直後は店から全く「食べ物」が無くなり人に話を聞くと「一日に1個の漬けておいたトマトしか食べられなかった」とか「配給のパンを夜を徹して並んで待っていたのに、自分の前の順番で無くなってしまって、、、乳飲み子を抱えていたのに、、、どうしようもなかった。」だとか聞かされた。

そして、今現在のアルメニアの1人あたりのGNPは、、、実は「北朝鮮以下」なのである。

現状について言うと、アゼルバイジャン辺りと違ってアルメニアには全く「天然資源」が無い。今現在は食べるには困らない国なのだが、コレはやはりチト厳しい。

ソヴィエト時代は「ヒューマン・リソース」が豊富だったらしいのだが、独立直後は優秀で何らかの能力に長けた人から真っ先に国から出て行ったらしい。その結果が今のアルメニアである。話によると100万人弱の人がこの国を後にしたらしい。

「男性に比べて女性が多い!」というのは生活していれば普通に気が付く。今日もお昼にピザ屋で食事をしていたのだが、フと周りを見渡してみたら自分以外は「全部女性!」だったので、なんか気恥ずかしくなってしまった。アルメニアでは結婚適齢期であろう「20代から30代」の若い女性は結婚したくても結婚出来ないというのが現状らしい。(してる人はしてるが、、、)

実際、友達の女の子の何人かは可愛くて、気立てが良くて、夏になると目のやり場に困る程の「ナイスバディー!」なのに、何故かボーイフレンドが居ない。

最初は非常に不思議に思っていたのだけれど、この国の現状を理解するにつけ「どうしてこんな可愛い女の子が男縁がないのか?」も理解出来た。

人によって、民族によって美的感覚は異なるのかもしれないが、日本人が普通に見たら「可愛い!」と思えるような子に限って結婚していなかったり、ボーイフレンドがいないように感じた。(嘘か本当か知らないが、アルメニアでは割とふくよかな女性がモテるらしい。)

どこかでも書いたがこのアルメニアの「男性天国」はこの異常なまでの男女比率に因るものなのだろう。男性は思いっきり「売り手市場」だからヤリたい放題らしい。

帰り際にカリネおばさんがボソッと漏らしていた、、、

「もぅ、アルメニアに住むのはイヤだよ。仕事は無いし、例えあっても給料は雀の涙。だからと言って物価が安いワケでもない。アパートの水は出ないし、冬は猛烈に寒い。でも、他に行く所が無い、、、」



、、、ウクライナに滞在していた時の事。

両足が無いホームレスのおじさんがスーパーの前でいつも寂しそうに佇んでいた。

一度、たまたま手元にあった「5グリブナ札」と買い込んだ「小ビンのヴォトカ」を1個あげたら飛び上がらんばかりに驚いた様子で、一生懸命に追い掛けて来た。

「君はウクライナ人じゃないな!もしウクライナ人ならこんなプレゼントをくれたりしない!」

見ればウクライナ人じゃない事くらい分かりそうだが、ウクライナには結構ロシアやウクライナで生まれた「朝鮮人」が居るらしい。勿論、彼らの国籍はウクライナだったりロシアだったりする。一瞬、自分の事をウクライナ国籍を取得したヴェトナム人かウクライナ生まれの朝鮮人だと思ったらしい。

しばらく両足の無いホームレスのおじさんとヴォトカを飲みながら話していた。

「現在のCISだけにとどまらず、世界の全てが荒れている。世界中の人がお金ばかりを求めてお金の奴隷になっている。何処に行っても世知辛い世の中だ。なんとかしたいと思っている。」と話したら、、、彼は非常に印象的な事を言っていた。

「君は太陽じゃないんだから、全ての人を温める事は出来ないよ」と。

実にその通りだ。イチイチCISで生活するのに「不正」や「他人の悪行」に腹を立てていたらとてもじゃないけど体が持たない。そして、その「理不尽に泣く人」をイチイチ同情していたらキリがないのも事実。

日本人から見れば「信じられないような理不尽」にCISの人達は毎日耐えている。アルメニアで出会ったドイツ人が言っていた。

「物凄く「ニブく」ならないとCISでは生活していけないよ。」果たしてそうなのだろうか?

カリネおばさんは幸運にも1ヶ月50ドルの働き口を見付けたのだそうだ。今持っているアパートを少しでも高く売れたら、安い1DKのアパートを購入したいらしい。

「今の所(アパート)は浴室が無い。だから体を拭いて髪は台所で洗っている。こんな生活にもう疲れた。普通にバクでいいからシャワーを浴びたい。」

老婆心ながらアルメニアの将来を考えると様々な困難が複雑に何重にも重なっていて、「一体、どうなるのだろう?」と思わずにはいられない。

文化が分かってきたり、友達が出来たりすると外国に住むのが楽しくなる。そして、友達を通して見る事が出来るアルメニアがとても愛しく思う事もある。(だけど、アルメニアのオヴィールだけはどうしても嫌いだ!)

殆どの日本人が国名さえ知らない「アルメニア共和国」に住んでいるのも何かの縁だろう。

当たり前だが自分は「太陽」ではないのだ。全ての人を幸せになんて出来っこない。
でも、ココで出来た大切な友達にはなんとか将来もつつがない生活を送って欲しいと思う。


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