(21) 新聞記者のマーラ
マーラ:「ダメッ!!!明日絶対に取材に行きますからね!!!絶対に待っているように!」
ワシ:「他の在アルメニアの日本人を紹介するからぁぁぁ、、、イヤだようぅーーー!」
マーラ:「アナタじゃなきゃ絶対にダメったらダメ!一体、何時まで私を待たせるのよアンタは!
しかも、取材させてと言ったら日本に逃げて行っちゃうし、、、ウン?」
ワシ:「に、、、逃げて行ったワケじゃないゾ!用事があったから日本に行ったんだゾ!」
マーラ:「とにかくデスクがあなたの取材を心待ちにしてるんだからね!明日行くよ!絶対にッッッ!」
ワシ:「ウェーン!!!イヤだよぅーーー!!!」
今年(2002年)の4月くらいに偶然知り合ったマーラという女性。出会った当初はテッキリ「お医者さん」だと思っていたのだが、後に人伝に「ジャーナリスト」だと知る。で、彼女の住む「エレブニマッシフ」という地域に住む友達に会いに行ったら、偶然にバッタリ会ってしまった。
「アナタをインタビューしたいんだけど、、、いい?」と会うなりイキナリ言われてしまった。
当然「ヤだ!」とその時は言ったのだが、執拗に取材依頼の電話が掛かってくる。日本に帰国する前になんとか取材させろ!と言われていたのだが、、、そのまま帰って来てしまった。
「他の在アルメニアの日本人を紹介するからー!」と何度も言ったのだが、「アナタじゃなきゃダメ!」と言われ続けた。何で俺じゃなきゃダメなのだ?
で、日本からアルメニアに再び帰って来て新しいアパートで落ち着いていたら、どうやって電話番号を調べたのかマーラから再び電話が掛かって来た。
それが上記の会話、、、 マーラ、恐るべし!
チョット面白い女性なので簡単に彼女の経歴を紹介しましょう。
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マリエッタさん。(皆は「マーラ」と呼んでいる)
アゼルバイジャンのバクーに生まれる。旦那さんはバクー生まれのアルメニア人。初めて会った時から「アルメニア人のような、そうでないような、、、?」と不思議に思っていたら、お母さんがアゼルバイジャン生まれの「ドイツ人」だという事が判明!
ウム!ドイツ人のお母さんの血を引くだけあって大変に立派な体格をされている。(失礼!)へぇー、アゼルバイジャンにもドイツ人が居るんですねー。
極々近い知り合いにも「お父さんが実はドイツ人でして、、、」という人が居る。アルメニアで生まれた「生粋のドイツ人」なのだそうだ。
独ソ戦の時に「ドイツ人だとバレると赤軍に殺されるから、とりあえず家族はロシア人に成った(?)」と、言っていた。でも、ロシア風の名前じゃなくてドイツ風の名前なのが不思議だ。改名はしなかったらしい。
その人は「お父さんがドイツ人、お母さんがロシア人とアルメニア人のハーフ」なので、自分が本当は「何人」なのかよく分かっていないらしい、、、(でも、名前はしっかりドイツ人)
とりあえず、アルメニアで生まれてアルメニアのパスポートを持っているから「アルメニア人」と言っている。顔や体系を見る限り、どうしてもアルメニア人には見えないのだが、、、?
で、その人の奥さんはロシア人。その人の娘さんに「君はアルメニア人かい?ドイツ人かい?」と聞いてみたら、「違うよ、私はロシア人だよ!」と言っていた。実に不思議な家族である。
マーラはソヴィエト時代にアゼルバイジャンで生まれて「ロシア系」の学校、大学に通ったからロシア語のネイティブらしい。アルメニア語はアルメニアに移り住んでから身に付けたと言っていた。日常生活に困らない程度には喋れるけれども、読み書きは全く出来ない。
グルジアやアゼルバイジャンで生まれたアルメニア人には割とマーラみたいに「ロシア語は喋れるけれども、アルメニア語は苦手!」という人が多い。
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とにかくマーラは恐ろしく早口なロシア語を喋る。まるで、ロシアのニュースキャスターのように表情を変えずに「聞き取れるものなら聞き取ってみなッ!」と言わんばかりに、マシンガンのように早口なロシア語を喋る。
なので、全神経を集中して聞かないと混乱してしまうので困るのだが、、、
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とりあえず、アルメニアに居る時は必ず買っている「エクスプレス」という新聞がある。ロシア語で書かれている新聞なのだが、、、フと見たら見覚えのある人の顔写真に目が止まった。
「あー!Yさんだッ!」 、、、知り合いの日本人だった。彼もインタビューを受けたようだ。
彼は研究者。アルメニアに(何故か)住んでいる自分と同じ「大変に物好きな日本人」である。どんな事を質問されて、どんな風に答えているか参考にするには丁度良かった!!!早速、購入!
彼のアルメニア人と日本人を比較した考察が非常に興味深かった。殆どが、ココ(アルメニア共和国)に住む日本人と同じ感想を漏らしていたようだが、、、?
まず、、、アルメニア人は「自分の喋りたい事をひたすら喋りたいだけ喋るが、人の話は全く聞いていない」という点には、在アルメニアの日本人の全員が賛成する所ではないだろうか?
彼等、彼女等の一番困った所は確かにソレだ。人の話を聞くフリをして実は全然聞いていない。コレには、自分だけじゃなくて在アルメニアの日本人の全員が泣かされているらしい。一応、表情を見る限り「ちゃんと聞いているな」と思えるのだが、実はまるで聞き流している。重要な話ほど気持ち良く聞き流してくれるので、本当に泣けてくる。
彼等、彼女等は例え喋る事が無くともひたすら喋り続ける。それが、どんなに内容の無い話であろうとも。アルメニアでは「雄弁は金!寡黙は、、、ゴミ。」というお国柄なのである。(コレは才能かもしれない)
「如何にして、アルメニア人を黙らせて話を理解させるか?」というのは永遠のテーマである。コレに限っては老若男女を問わず、とにかく「一方通行なお喋りが大好き!」なアルメニア人。この国で「聞き上手」になれたらどんな国でも生活していける。(太鼓判を押すゾ!!!)
それと、Yさんが「和み」という言葉を用いている所が非常に印象的だった。
アルメニアには確かに日本のような「和み」なんてものはない。もし、アルメニアにも「和み」があったのであれば、アルメニアの道路事情は今程ヒドくはないだろう。どこでも、キチンと行列を作って並ぶであろう。
アルメニア人とは、、、実に「和み」とは無縁な人々である。
殺伐とはしているが、何故か同時に非常に「甘ったるい」雰囲気の流れる「不思議な国・アルメニア」の本質をズバズバと突っついている面白いインタビュー記事だった。
ウンウン、非常に参考になった。ココまでは踏み込んで言っても差し支えがないんだな。
よっしゃぁぁぁッッッーーー!何時でも来いッ!マーラ!何にでも答えてやるゾ!
、、、かくして、その日は来てしまった。
アルメニア人にしては珍しく「時間通り」に来た(ビックリした)。エライ!お母さんがドイツ人なだけはあるッ(?)!
お菓子を出した後に、「コーヒーをいれるから待っていて」と言ったら、
「スグに取材を始めたい!多分、3,4時間かかるから」だって、、、えぇーッ!そんなにぃー???
そんなこんなで取材が始まってしまいました。(最後まで渋っていたのだが、、、)
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マーラ:「まず最初に、イェレヴァンに最初に来た時の印象を教えて下さい。」
ワシ:「(またエラく抽象的な質問だな、、、)はぁ、空港が暗いなぁー、と。」
マーラ:「暗い?シェレメチヴォと比べても???」
ワシ:「ウーン、暗い。トイレも強烈だった。」
マーラはCISから出た事が無い。つまり「シャバ」の状況を知らない。
マーラ:「では、イェレヴァンの感想は?」
ワシ:「道がデコボコしてて、夜はいつもおっかなビックリ歩いてました(夜盲症なのである)。今でもそう。でも、建物は遠くから見ると非常に面白い形をしているし、美しいと思いました。なかなかセンスがあると。しかし、近くで見るとかなりボロボロでアチコチにガタがきているのが分かりましたが、、、アルメニア人の猛烈な車の運転には今でもついていけないです、、、(泣)
夜になると誰も信号なんて守らないんだから消しておいた方が節電になって良いと思うんですけどねぇ。」
マーラ:「建物に興味を持ったワケですか?」
ワシ:「そうですねぇ。センスは感じるのですが、どれも肝心な所で致命的な手抜きをしているとも感じました。ツェツェルナカベルトの館内の天井から水が漏れてて、そこが腐って崩れ落ちたりだとか、普通のアパートの窓が歪んでいたり、、、ドアもやたらと不便でややこしい鍵が付いてるし。ソ連時代の建物はどれもそんな感じ。特に、アパートの剥き出しの電線には恐怖を感じます。ビリビリしそうでイヤです。でも、建物よりも人々の生活に興味を持ちましたが、、、」
マーラ:「その時、アルメニアのどの地方に行きましたか?」
ワシ:「えぇー???あー、大体殆どの地域に行きました。小さな村にまではイチイチ行きませんでしたけどね。歴史的な建造物や遺跡等がある所は全部行きました。勿論、カラバフも。」
マーラ:「何処が一番印象的でしたか?」
ワシ:「ウーン、、、イェレヴァン以外の地域だと、、、ゴリスですかねぇ?」
と、こんな軽いジャブから始まった会話だが、だんだんと複雑な話題になっていく。
この後、アルメニアの政治や経済、文化を日本と比較した視点で述べさせられたりした。
マーラ:「アルメニアと日本の教育を比較して、具体的にどのような違いがあると思いますか?」
ワシ:「あー、そんなに変わらないですよ、多分。って言うか、見た事無いので分からないのですが、、、?」
マーラ:「例えば、アルメニアでは教育の現場に賄賂が横行しています。これについては???」
ワシ:「日本でもありますけど、アルメニアみたいに教師が直接生徒やら親に幾ら寄越せとは言わないと思いますねぇ。何人か教師の知り合いが居るので彼女等の立場を弁護させてもらえば、1ヶ月の給料がたったの8ドルじゃ
教育に情熱を注げ!と言っても無理が有ると思いますよ。ほら、先生だって生活がかかっているワケだし。でも、この給料じゃ教師の成り手がどんどんと減少しますよね。良い教師だって減るワケです。」
実は10歳の女の子に英語と数学を教えている。その子のお母さんから「公立学校の教育がかなり荒れてきている」という事は聞いていた。お金さえあれば出来れば「私立」に入れたいのだそうだ。しかし、「私立」は1ヶ月に60ドルの学費がかかる。当然、そんなお金は逆立ちしても出てこない。アルメニアの私立学校にはお金持ちの子供達だけが通っているのだそうだ。(なんでも給食付きらしい)授業も非常にしっかりとしたカリキュラムが組まれていて、卒業する頃には私立卒の子供と公立卒の子供とでは雲泥の差が出てしまうと聞いた。(まぁ、日本でもそうかもしれないが。)
1ヶ月8ドルの給料で生活していくのは例えアルメニアでも「絶対に不可能!」である。そんな「雀の涙」程の給料で教師がまともに働くワケがない。そして、教師の成り手は極端に先細っているらしい。
これが大学になると「公立」と「私立」の立場は著しく逆転する。
イェレヴァンはこんな小さな「街」なのに、信じられないほど沢山の大学がある。元々(ソヴィエト時代)は当たり前だが国立(公立)大学しかなかった。独立直後から雨後の筍の如くボコボコと「即席な私立大学」が出来上がってしまったらしい。
地下鉄の駅「イェリダサリダカン」はアルメニア語で「学生(若者)の町」である。典型的なソ連型の学生街だ。なので、うっとぉーしー程の大学が有り、そして学生が居る。(大学の近くには必ず「コピー屋さん」が有るのは万国共通らしい。コチラでは「クセロックス」という。)そして、街を歩いていると思いがけず新しい(私立)大学を発見してしまったりする。
コレはある親しい国立大学の教授の話だが「アルメニアの私立大学に行くくらいなら行かないで働いていた方がマシだ」と言っていた。「大学としての最低限の体裁も無いし、授業はいい加減そのものだし、パーな若者に「大学卒」の肩書きをやってるだけに過ぎない!」と気持ち良く一刀両断していた。
実は、その通りだと傍から見ている外国人でも感じる。
知り合いの女の子に「某・私立大学の英文科卒業」という子が居る。この子がまた、日本の中学生よりも英語を知らない。「どんな授業をしていたのか?」と聞くと、
「授業なんて出ていない。この国ではお金が全てを解決するのよ、知らなかったの?アナタだってお金を払えばどんな資格でも取れるわよ、この国では。」と、軽ーく言われてしまった。国立大学では稀なケースらしい(未確認)が、私立ではそんなのが当たり前なのである。教育の現場に「賄賂」がはびこり、もはや教育以前の問題になってしまったらしい。(コレは別にアルメニアに限った事では(多分)ないと思う。ロシアでもそうらしい)
だからかも知れない。日本を含め、西側先進国と呼ばれている国々は基本的に「科学」の分野以外のCISの大学卒業資格を認めていない。むしろ、「マイナス要素」にさえ成り得ると聞いた。つまり、「CISでの人文系」のディプロマは悲しい事実だが世界では全く通用しないらしい。こんなCISの現実を外国の人達は良く見ているのだろう。(勿論、「アカデミー」は別格らしいが、、、?)
実際そういった私立大学の中には恐ろしくも凄まじい、とても「ソ連人」以外は大学とは思えないようなシロモノもある(大体がそんなのだが、、、)。自分も「コレが大学かいッッッ!!!」と思わず引っくり返りそうになった「ビックリ私立大学」を見た事も有った。
教育の質もさる事ながら、とにかく「集金大学」と呼んだ方が良いようなお粗末な私立大学が多いのである。
これはボディーブローのようにジワジワと効いてきて、何年後かにはアルメニアにとっての大きな「致命傷」になるかもしれない。良い例がロシア。ロシアは科学者を粗末にする余り、大量の「頭脳流出」をさせてしまった。ある雑誌には(正確な額は忘れたが)、損失額が500億円だったか5兆円だとか言っていた。(どんな計算したんだう?)が、、、コレは日本でも十分に起こり得る事である。シッカリしないと!
それと、ソ連時代ならまだしも今でも教科書に書き込んだりマーキングするのを許さないのはどうかと思う。ソ連時代は学校が(と言うよりも国家が)学生に教科書を貸し出していた。なので、教科書は「出来るだけキレイに」使わなければならなかったのだそうだ。それならば、教科書に書き込むのを禁止するのは分かる。
が、今はそうじゃない。全てではないらしいが生徒が殆どの教科書を買い揃えなければならないらしい。英語を教えている時にチビちゃんに「分からない英単語があったら横にロシア語で意味を書きなさい」と言ったら、「そんな事したら先生に怒られるからイヤだ。」と言っていたのには驚いた。
この英語の教科書はチビちゃんの親が買ったものである。
自分のものなのだから、とやかく言われる筋合いはないと思うのだが、、、?
別に自分の教科書をどのように使うかは自分の勝手だ。この辺がまだ「ソ連スタイル」のままなのである。
ので、この点については日本と大きく異なるとだけ言っておいた。
マーラ:「日本の親は子供を殴ったりせずに諭すように説得すると聞きましたが、それも子供を殴って言う事を
聞かせるアルメニアの親と比べてどう思いますか?」
ワシ:「ハァー?誰がそんな事を言ってるんですか?日本の親だって子供を叩きますよ。」
マーラ:「アルメニア人の親みたいに?」
ワシ:「あぁ、、、ウーン、、、アルメニア人の親ほど強烈ではないでしょうケド、、、」
アルメニア人は子供をハンパじゃない勢いで殴る。コレは何度も目撃したので、その度に引いていた。
一回、御呼ばれして行った家で子供がギャンギャンと騒いでいたのを楚々とした美人で一見大人しそうなお母さんが「静かにしなさい」と注意していた。当然、アルメニアの子供には「馬の耳に念仏」である。何度も注意しているにも関わらず、ボリュームは増すばかり。確かにウルサイ。
子供がコーヒーを引っくり返した次の瞬間、美人お母さんがキレた。
履いていたスリッパを手にしたかと思うと、子供の首根っこをフン掴まえて力の限りにバカバカと殴り始めたのだ。コッチの血の気が引くほどの凄まじい勢いだった。お母さんのスゴイ所は、表情一つ変えずに黙々と子供をスリッパで叩きのめしていた所だ。
子供も殴られ慣れて(?)いるのか、殴られ終わった後も「ケロッ」としている。しばらくすると、また思いっきりノイジーになって再びお母さんの逆鱗に触れてヤキを入れられる。
日本では「子供を殴る事の是非」を巡って盛んに討論がされているらしい。殴ると子供に心的な外傷が残るのだそうだ。詳しくは知らないのだが、、、ヨーロッパやアメリカでは子供を殴らないらしい。それもどこまで本当か知らないが。
アルメニアでは確かに親が子供を殴り過ぎているかもしれない。しかし、そこまでしないとアルメニアの子供は大人しくならないのである。スリッパなんて良い方で、一回だけ「スンゴイ硬くて先が尖った見るからに痛そうな革靴」でお母さんにブチのめされている子供も見た事があった。(流石に子供も泣いていたが、、、)(アルメニアでは最近、まるで「ブッチャーが履いてた靴」みたいな先が尖った革靴が流行らしい)
上にも述べたように、結果としてアルメニア人はひたすら大声で喋り続けるとっても「騒々しい民族」と成ってしまった。お母さんの苦労は水泡と帰したようだ。
コレについては、在アルメニアの日本人の友人も多数目撃しているらしい。仲の良い友人とはこんな事を話していた。
「アルメニアは昔ジェノサイドで沢山の人が死んだ。万が一、またそんな事に起こっても生き長らえる事が出来るように母親が子供の頃から殴って鍛えているのでは、、、?」
勿論、冗談なのだが、、、半分冗談ではないような気もする。なので、コレについては考えがまとまらないのでウヤムヤに答えてしまった。
「政治」に関しては「CISに住む外国人なら絶対に言うであろう」月並みな事を答えた。もっとも住んでいて腹が立つ事は山ほど有るのだが、、、
ただ、経済に関しては他のCISの国々では見られないようなアルメニア独自の「特異な現象」が起こっている事について述べた。コレは最近に気が付いた事なのだが。
普段なら読み飛ばす新聞の「不動産、賃貸・売買」のページを見ていて「アー、なるほど」と妙に納得してしまった事だ。「どーりで、中心街(地図上では本当に中心街は円状になっている)だけやたらめったらと張り切って道路工事をして見栄えを整えているワケだ」、、、と。
なので、この最近起こっているアルメニアの「特異な現象」については
次回の更新の時に書こうと思っている。
「アナタの顔写真を撮らせて欲しい」とマーラは言う。 ィ、イヤだ、、、絶対に、、、顔だけはヤメてぇーーーッ!、、、ってなんか女優みたいだな。
マーラ:「インタビューしたら顔写真を載せるのは当たり前でしょう。今回は観念して泣いて下さい。」
ワシ:「、、、ウェーン」
2日後に新聞を買ってみたら、本当にデカデカと思いっきり顔写真を載せられていた。ココまでしなくたって、、、小さく扱われるとばかり思っていたのに、、、こんなに大きく、、、まぁ。
が、悪い事ばかりではなかった。後日、マーラが助けてくれた。
相変わらず、胸クソ悪いオヴィールでゴチャゴチャとヴィザの事で揉めていた。「300ドル払えばスグにヴィザをやる」とのたまったものだ。幾らロシアでも300ドルなんて途方も無い事は言わない。アルメニアが極悪なだけである。
つい最近、アメリカ人と結婚した女の子はもっと大変だったらしい。役所が結婚の証明書をなかなか交付してくれない。してくれないと彼女はアメリカに行く事が出来ない。すかさず彼女は「どうしたらスグに発行してくれる?」と職員に聞いた所、「700ドル払えば1週間で渡せるかもしれない。」と言われたそうだ。
時間が無く、八方塞りな状況に泣く泣くアメリカ人の旦那さんは折れて職員の懐に700ドルを入れたのだそうだ。この辺、アルメニアの男は本当にズルくて腹黒い。
親しい日本人の友人はレストランでよく「オヴィールの外国人係」を見掛けるそうだ。見るからにイヤらしい顔をしてて、腹黒そうな男である。まさに「悪人」である。由緒正しきソヴィエト型公務員の悪人ヅラした「アルメニア人」である。アルメニアに来る日本人でオヴィールに用事が有る人は、必ずこの男に会わなければならない。(名前が確か、、、アルトゥールなんとかヤン、、、アー!忘れた。)
この国の一般公務員の給料は30ドルから40ドルの間である。しかも、遅配や欠配は当たり前。とてもじゃないが、愛人を二人連れてレストランで食事を出来るような給料の額ではない。(この男はいつも二人の愛人を連れているらしい、、、)
しかし、彼はこの仕事を辞めないのである。自分のポストを誰にも譲りたくないのだ。コレが意味する所は、つまり「外国人を相手にしていれば給料の何倍も稼げる」という事だ。
この国の役所はロシアやウクライナのオヴィールと比較しても相当ヒドい。ロシアやウクライナはただ単に「働かない」というだけで、金銭は今までの経験ではアルメニアほど露骨に要求してこなかった。むしろ、受け取りを拒否されくらいだ。
そんな吐き気を催すアルメニア人公務員に毎度の如く嫌がらせをされていたのだが、今回、行ってみたら苦々しそうに顔をして「ジャーナリストにチクったのか?」と言ってきた。
スグに「あ、マーラの事だ。」とピンときた。2週間後にヴィザを貰えるらしい。この悪辣な公務員がたかだか新聞の記事にされる事を恐れているなんて意外と思われるかもしれない。しかし、旧ソヴィエトでアルメニア人ほど世間体を気にする民族は他に居ないのである。今回の勝因は「世間の噂の的になる事を極度に恐れるアルメニア人の性格」だった。
マーラに電話して聞いてみた所、
「知り合いにアルトゥールの上司がいるのよ。彼は私の友達。で、インタビューの時にアナタがアルメニアの役所について述べた事を言って聞かせた。で、彼にヴィザを出さなきゃ記事にするゾ!って脅したワケね。インタビューに時間を割いてくれたお礼だよ。困ったら何でも相談してね」
ウゥ、、、持つべきものは友だ!マーラ、ありがとうッ!!!
狭いイェレヴァンでは人と人がどのように繋がっているか分からない。お節介な程に世話をやきたがる心強いアルメニア女性にはこんな風にこれまで何回も助けて貰った。
マーラ、本当に有難う。