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アルメニア在住経験者によるエッセイ、生活情報、写真。アルメニア語講座。

(63) 幻の村へ①

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「幻の村」などと言ったら、かなり大袈裟かもしれません。
まぁ、大体「アルメニア共和国」自体が秘境のような国ですからねー。

アルメニアという国に興味の無い人にとっては、全くどうでもよい話なのですが、今日は最高に興奮してしまいました。今でも信じられないくらいです。

初めてアルメニアに来て、「アッシリア人」のみが住んでいる町を見せて貰った時は腰を抜かすほど驚きました。何故って、大体「アッシリア人」なんてとっくの昔に「絶滅」した民族だと勝手に思っていたからです。(非常に失礼!)

高校の世界史でチョロッと聞いた事があると言う程度で、殆どの人が、そんな民族が居た(今でも居るッ!)という事すら知らないでしょう。まぁ、外見は殆どアルメニア人と区別がつきませんでしたが、、、

でも、アルメニアに来ただけでビックリしていたのに「アッシリア人」に会って話をした時はもっともっとビックリしてしまいました。

流石!世界の秘境「アルメニア共和国」!信じられない事実がそこかしこにある所は素晴らしい!。
本当にこの国は住めば住むほど「不思議」が増してくるのです。
そして、この国の「古くて奥深い歴史」に驚嘆せずにはいられないのです。

この国に居ると、それこそ「不思議な人種」に沢山出会う事が出来るのですが、アルメニアに来てとにかくその「存在自体」が非常にミステリアスで、常に気になっていた民族が「マラカーニ」と呼ばれる人達です。

イェレヴァンを歩いていると、時たま見かけるのですが、男女ともとにかく外見に特徴があるので、見る度に「彼等はどんな人達なのだろう?」と思っていました。

なので、いつもいつも彼等の事が気になってしょうがありませんでした。

時々、ティグラン・メッツの商店街の近くでマラカンカの「母娘」が、キャベツの千切りみたいなのを売っているのを見掛けるので、「買って、少しでも話し掛けてお友達になれないかなぁ」と思うのですが、どうしても旧ソヴィエト圏では考えられないような清々しい笑顔で「スパシーバ」と言われてしまうので、逆に照れてしまって何時も何も言えません。

(11) アルメニアに居るガイジン」の所でも少し書きましたが、彼等はハッキリ言って「ロシア人」です。
が、マラカーニではないアルメニア在住のロシア人曰く、所謂「彼等は正教徒ではない」のだそうです。
キリスト教ではあるのですが、女帝・エカテリーナが時の権力者だった頃に祖国・ロシアから追放されてアルメニアにやって来た末裔達なのです。(と、その当時はアルメニア人から教わった)

何でロシアから追放されたかは後述します。

話だけなので、実はあまり詳しい事を知りませんでした。
まず、外見ですが男性は物凄いヒゲを生やしていて、女性は必ずスカートを穿いてて、尚且つスカーフを被っています。(例外アリ!後述します)

とにかく、アルメニアの社会の中では非常に目立ちます。

ある人の話で「ゴリスの近くにマラカーニだけが住む街がある」と聞いていました。
いつも遠距離を走る時は必ずお願いしている「アショット」さんにその事(マラカーニの事)を聞いてみたら、「それは違うと思う、北の方にマラカーニだけが住んでいる街があると聞いた事があるけれど、何処にあるのか?今でも済んでいるのかは分からない」との事でした。

アショットさんは親切にも何人もの知り合いに「マラカーニだけが住んでいる町の事をしらないか?」と聞いてくれたそうです。
が、殆どの人が「やはり、、、」というか知らなかったそうで、、、

実際、マラカーニはアルメニア人と話はするのだけれど、必要以上に話に突っ込んできたりしないし、仕事はマジメにするのだけど、必要以上にアルメニア人との親交を持とうとしないらしいので、アルメニア人にとっても彼等はとっても不思議な「謎の民族」なのだそうです。

ただ、「誰に聞いても、彼等はマジメで仕事熱心で、誰に対しても親切で誠実だ」と言っていたそうです。およそ、「ロシア人らしくないロシア人(!?)」なので興味はつのるばかり。

しかし、ついにアショットさんが断片的な情報をゲットしてくれました。
「確実な情報ではないケド、多分セヴァンの近くじゃないかと思う」との事。

どうしても彼等の事が知りたくって、今日は土曜日だしココは一つ「マラカーニ」だけが住む「幻の町」を探してみようと思ったのが吉日ッ!幸いイェレヴァンは快晴だったので、早速「アショット」さんに電話をして、アルメニア北部の町へと向かいました。

アルメニアに関する情報は当たり前ですが「アルメニア及びアルメニア人」にのみスポットを当てられたものばかりです。日本語の新聞、本、ホームページを見ても「マラカーニ」の「マ」の字も出てきません。

英語で書かれているホームページ等を閲覧していてもやはり「マラカーニ」に関する情報は皆無です。ロシア語の歴史書やザカフカスを紹介するロシア語ホームページにはもしかしたら出ているかもしれないですが、その時は丸っきりロシア語が読めませんでした。
(註:後日、英語のマラカーニのスペルが「MOLOKAN」である事が判明!幾つかサイトを発見した。)

今回はかなり写真が重たいかもしれないです。どうか勘弁をッ!!!

さて11時頃、アショットさんと一緒に早速北の方に向かいました。
とりあえずセヴァンまで行って「情報を集めよう!」という、なんとも「行き当たりバッタリ」で心元無い情報収集方法ですが、他に追加情報もなかったのだからやむを得ないですね。

でも、その時は「マラカーニ達が住む村を見つけるまで今日は帰らないゾ!」と固く心に誓ったのでした!
(アショットさん、ゴメンなさいネ、、、)

さて、下の写真はセヴァンに行く途中に撮った山の写真等です。


イェレヴァンを抜けたら急に寒くなりました。まだまだ山の麓まで雪が残っていますね。


普通のアルメニア人ドライバーであれば何処にいつも警察が待機しているか知っています。
警察の検問所では思いっきりスピードを落とすのですが、それ以外の道ではひたすら全速力!

穴ボコだらけの悪路にも関わらず、スピードをとにかく出す事!出す事!
何度か突き上げがキッツクて天井に頭をブツけそうになりました。
ヒヤヒヤと何度も肝を冷やしましたが、アルメニア人の運転は皆こんな感じ。

その猛スピードのお陰でイェレヴァン中心部から30分ほどでセヴァンに到着!
今回は早かったなぁ、、、アッという間だったなぁ、、、


セヴァンに到着!夏とは随分と雰囲気が違いますね。


セヴァンには何度も来ているのですが、この時期に来たのは初めてです。
夏の日差しが眩しい、「美しいセヴァン」とは雰囲気がガラリと変わって少し寂しい感じの「黄昏た古い街」という感じでした。

ですが、「セヴァン」が今回の目的地ではないので写真を数枚撮ってパス!
早速、通行人に「マラカーニの皆さんは何処に住んでいますか?」と聞こうと思いきや、寒いのに加えて、天気が急に悪くなってきたものだから、人っ子一人居ません。


うーん、セヴァン湖が普通の川みたいに見えたのは初めてだッ!
右の写真で下方に写っている廃墟はトイレでしょうか?


向こう岸は多分「Shorzha」だと思う。この先に、新しい感じのホテルが出来ていました。


正直言ってセヴァン湖がこんなに、、、言葉が悪いのですが普通の「川」みたいに見えたのは初めてでした。

夏は海面に青空が映し出されて、それはそれは美しいのですが、、、

因みにココでの手がかりはゼロ。というか誰も歩いていなかったです。
仕方なく、北の方に向けてとにかく走る事に、、、


セヴァンを抜けた所で見つけた小さな町。


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